漁師たちが追い込んだクジラやイルカには、食用のほかにもう一つ行き先がある。水族館だ。
漁師によると、水族館用のイルカは食用と同じく、景浦と呼ばれる入り江に追い込んで「選別」する。
ウェットスーツで海にもぐり、イルカの体長を測る。傷が少なく、条件に合うイルカが見つかれば、専用のたんかに載せていけすへ運ぶ。
太地の追い込み漁で捕獲対象になっているクジラやイルカは計9種。なかでもハンドウイルカは主に水族館向けだ。
国内の水族館へ直接販売するものと、太地町長が代表をつとめる第三セクター「太地町開発公社」や民間の飼育業者を通じて国内外の水族館へ運ばれていくものがある。
2015年以降、日本動物園水族館協会(JAZA)の加盟施設は太地のイルカを購入しなくなった。世界動物園水族館協会(WAZA)が、追い込み漁が「残酷で非選択的な方法だ」として、購入をやめなければ除名にするとJAZAに迫ったからだ。
JAZAは動物園も含む152の加盟施設で多数決をとった。結果は離脱43、残留99。太地のイルカと引き換えにWAZAに残留することを選んだ。
JAZAの加盟施設が購入をやめても、もともと非加盟だったりその後に脱退したりした国内水族館からの引き手はある。何より、水族館ブームに沸く中国の水族館からの需要があった。
だがコロナ禍の影響で、中国へのイルカの輸送は止まった。
今漁期に漁師たちが販売した…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル